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第57話 欲しいのは、オリヴィアの心

last update publish date: 2026-08-20 14:02:04

 イアンは私室でベッドの端に腰掛け、自己嫌悪に陥っていた。

(あの場に居るのがいた堪れなくなって「具合が悪い」と嘘をついてあの場を去ってしまった……三十歳にもなって恥ずかしい。オリヴィアは変に思わなかっただろうか、とそればかり心配だ)

 両手で顔を覆い、それから頭を抱え込む。

(まさか、本当に俺と離婚したがっているなんて……。辛い、辛過ぎる──……。あんな真剣な顔で「結婚記念日の朝に話がある」なんて言われたら、なんて返すのが正解だったんだ。しかも、俺が起きたタイミングで言いたいとか! どれだけ別れを切り出したいんだ……)

 イアンは「話がある」と言った後のオリヴィアのしたり顔を目撃してはいなかった。あれを見ていれば、オリヴィアが自分と離婚したがっているという話に信憑性が出てきただろうが、最初の台詞と真摯な眼差しに頭を殴られたような衝撃を受け

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